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フィールドワーク

高1FW  水俣方面:郡山リエさんからお話を聞きました

 12月4日、高1FW水俣方面では、認定NPO法人・水俣フォーラムから郡山リエさんをお招きしてお話を聞く機会を持ちました。郡山さんは水俣市の湯堂で生まれ育ち、現在は神奈川県にお住まいです。水俣病がまだ「奇病」と呼ばれ、原因も特定されていなかった時期に、郡山さんのご実家は雑貨や食品を扱うお店を営んでいました。湯堂は不知火海に近く、漁で生計を立てている家族が住んでいたため、水俣病を発症した患者さんの多く出た地域です。当時は保健所からの指導で、検査や消毒を進めており、その指導に従って、患者さんやそのご家族から直接お金を受け取らなかったことが差別ととられ、患者さんを深く傷つけることになったのではないか、と村の雰囲気や家族の様子を思い出しながら郡山さんは語ってくださいました。
 郡山さんが小学生だった頃、水俣では「もしかしたら伝染るかもしれない」ということで避病院に入院させられる患者が増え、お葬式も多く、その状況に村人は恐怖を感じてパニックになっていたそうです。「もっと早く「伝染病ではない」という見解が公的に出され、きちんと情報が伝えられていれば、状況は変わっていたのではないか」という郡山さんの言葉を生徒たちは真剣に受け止めていました。
 大学生時代に『苦海浄土』(石牟礼道子著)を読んだ際、冒頭の「椿の海」という章で、とても美しく故郷が描写されていたので読み進めたところ、自分の実家が「差別した側」として描かれていたので大きなショックを受けたこと、『水俣病の民衆史』を執筆した岡本達明さんの「ものごとは多面的に見る必要がある」という言葉に救われたこと、水俣フォーラムで学ぶ機会を得られることをとても嬉しく思っていること、などを生徒の感想や質問に丁寧に答えながら話してくださいました。「若い人たちが水俣病に関心を持ち、学んでくださることが何よりです」と励ましてくださった郡山さんの言葉を大切に、生徒たちは一人ひとりのテーマを掘り下げ、レポート作成に向かっていきます。